-真理子-



 (はぁ・・・・・・)

 真理子は、小さなザックを肩にかけ、手近な岩塊に腰をかけ、嘆息した。
 まだ、町までは大分ある。徒歩なら三日はかかる距離だ。
 学会の帰り。たまたま乗り合わせたランドシップに、野盗が押し入ってくるなんて、人生においてもそうそうあるわけではないが、幸運とはほど遠い。
 真理子は、とっさに窓から飛び降りたものの、町からは遠く離れた荒野。あるのはただ一本の幹線道路のみ。
 
 (こんな事なら・・・・・・まだシップに残ってたほうがマシだったのかなぁ・・・?)
 
 
 今更そんな自問自答してもはじまらない。今は、とにかく歩きながらヒッチハイクでもするより他にない。
 
 (このまま凍え死んだらどうしよう・・・ああ・・・なんて運の無い人生・・・・・・)

 真理子は、もう一度大きく嘆息した。

 「・・・・・・足?」

 目の前に、屈強そうな男の足。目線を挙げると、無表情な男が立っていた。
 真理子は、全身が粟立つのを感じた。

 (野盗・・・・・・じゃ、ない!こ、これ・・・シャドウ!?)

 自分の書いた論文にも「シャドウ」の記述はさんざん書いた。
 負の精神体、シャドウ。死人のVクリスタルが、なんらかの影響でターン・リバース・コンバートを起こすことで、死した肉体を再構築する。その際、Vクリスタル内の情報は壊れ、ただただ欲望にのみ基づいて行動するだけの生ける屍となる。

 そして、その際普段は無意識のうちに抑制していた、かつてどのVRももっていたという力を、理性のタガが外れると同時に解放してしまうのも、シャドウの特長だと。

 真理子は、顔を引きつらせた。

 (死・・・・・・死ぬ、死ぬ死ぬ!死んじゃう・・・・・・!)

 真理子はパニック状態に陥りながらも、VOX系VRに共通する「二人羽織」とよばれる攻撃デバイスをリバース・コンバートさせる。

 (どうにか、どうにかして、逃げないとっ・・・・・・!)

 真理子のそんな気持ちをあざ笑うかのように、「彼」は口元をにっとゆがめた。

 





◇ 問題 ◇
連想クイズです。次の事柄から予想されるキャラクターのファーストネームを
英語で下記アドレスの○の部分に打ち込んでください。

嵐を呼ぶ男
挑発
いつの間にかイロモノに
日本人



http://www116.sakura.ne.jp/~jr/eventvrcvoxg○○○.html




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