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- 影の黎明 -






序_■

 例えば、誰も見たことも聞いたこともないモノを作ったとして、誰がその「モノ」を理解しえるだろうか?
 あらゆる「モノ」は既存のモノを変遷していくのであって、突拍子もなく現れる「何か」に対し、人は理解や共感といったものとは正反対の感覚を抱く。

 だから、人類が「VR」として、新しい歴史を重ねて行けたことは賞賛に値するのではないか。

 「VR」

 もとは、火星のテラ・フォーミングに際し、その過酷な環境に対応するために人工的に強化された人間を差す言葉。
 俗に言うサイボーグと決定的に異なるのは、「VR」が完全に人間の体組織と無機質による構造体が遺伝子レベルで融合している点である。
 そして、「リバース・コンバート」
 脳幹内に収められた「Vクリスタル」と呼ばれる直径1ミリにも満たない八面体の結晶。そのクリスタル内に収められた情報を、実体として再構築(リバース・コンバート)する。
 この技術により、「VR」は過酷なテラ・フォーミングの実作業現場においても身を守るために甲殻類にも通じる装甲を再構築し、作業能率を挙げるため両の手に鋼の手袋とも言える強靱なマニピュレーターを再構築する。

 もとを辿れば、旧暦の終わり、月より人類紀元前のものと思われる遺跡、「ムーンゲート」が発見されたことに端を発する。
 そこから発見されたオーバーテクノロジー、今日全てのVRの生命を支える第二の脳とも言えるVクリスタルも、このムーンゲートより発見された「ムーンクリスタル」を模倣して作られたモノだ。
 
 その後、人類と呼ばれる存在が忘れられ、VR達が地球、月、火星を普遍的な生活圏とするようになった頃・・・。
 
 「マーズクリスタル」の発見が全てを変える。


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