- コーギー -

ホライゾン・ヒルにやってきたのは一年と少し前。狩りには鋭意的に参加するが、その腕前は平均よりやや劣るといったところ。

好奇心旺盛な自称学者の卵。ホライゾン・ヒルには様々な動植物の調査に来たというが、真相は不明。が、狩りの際に主に使用している大型の火薬弓は彼女が改造した物で、それだけを見てもかなり専門的な知識を持っているだろうと言う事は想像に難くない。


愛用の武器は半自作の大型火薬弓。某国で開発されたが生産コストの関係で実際は採用されなかった物を改造して使用しており、その威力は相当のもので、ホライゾン・ヒル周辺の獣相手でも十分致命傷を与えうる。また、ホライゾン・ヒルでは同型の火薬弓はそれなりに安く数が生産されており、接近戦に自信の無いハンターはこれを使う事が多い。



- コーギー -

コギトエルゴスム、というのが彼女が自称する名前だ。
が、所詮自称であるから本当かどうかは疑わしい。
どちらにせよ、その名前は様々な国、地方から人が集まる
このホライゾン・ヒルにおいては覚えられづらく、彼女がコーギーという愛称で呼ばれるようになるまでに時間はかからなかった。

「だからぁ、何度も言ってるでしょ!サイハイランはこの時期にしか活動しないんだから!今行かないと意味がないんだって!」
「知るか!他をあたんな!」

コーギーはキャノン・ボールでひとしきりチームのメンバーを募った後、深くため息をついて椅子に乱暴に腰掛けた。
彼女は学者の卵を自称する娘で、ホライゾン・ヒルには他では見られない珍奇な動植物の記録を残すために来たと言う。
が、その若さと姦しい性格から、ただの家出娘の方便だ、などと思われているのが実状である。

「全く、どいつもこいつも!学術的好奇心ってもんが足りなさすぎるんじゃないの」

誰ともなしにぼやくコーギーに、周囲のハンター達は肩をすくめた。
が、それも無理からぬ話で、コーギーが行こうとしている狩り場は、獰猛な獣が多く、よほど腕に自身があるか、そうでなければコーギーのような他の目的がある者でなければ滅多に足を踏み入れる事が無い場所だからだ。

コーギーは、ハンターの中でも「シューター」と呼ばれるカテゴリーに分類される。
狩りと言えば弓と罠で獲物を捕らえるという認識が一般的だが、ここホライゾンヒルでは大型の肉食動物や全身を硬い甲羅で覆われた甲殻獣等を相手に狩りを行うことが多い。
その類の獣は往々にして生命力が強く、弓や簡単なトラップの類ではほとんど致命傷を負わせられない。
ゆえに、ここではハンターと言えば白兵で獲物を仕留めるのが一般的になっている。
とは言え、チームを組んで狩りを行うのであればシューター・・・すなわち弓やボウガンのような飛び道具を扱うハンターも、必要とされる状況はまだまだ多い。
ましてや、コーギーが扱っているような大型の機械弓であれば、ホライゾン・ヒル周辺の大型肉食獣が相手でも十分に致命傷を与えるだけの攻撃力があるとして、それなりの需要がある。
が、あくまでもシューターはサポート役としての性質が強く、シューターが主体となって人を集めるにはそのシューターによほど信用がなければ難しかった。


「よぅ、コーギー。アルリア河を一緒に下るハンターを探してるんだって?」
「う・・・アイヒマン」

コーギーはそう声を掛けてきたハンターを見て、思わず顔をしかめる。
アイヒマンはハンターとしてはかなり高齢で、コーギーと比べると親子ほども年が離れている。
そういう年齢差の気安さがそうさせるのか、アイヒマンは何につけてコーギーのチームに参加することが多く、コーギーは逆にそんなアイヒマンが少々苦手だった。

「ま、お前さんのことだから、誰も名乗り出なけりゃあ一人でも行くんだろう」
「ン・・・ま、ね」

別にコーギーはアイヒマンが特別嫌いだというわけではない。その娘に接するような態度のアイヒマンと一緒にいる事に気恥ずかしさを感じて、それが苦手意識になっているのだ。ファーザー・コンプレックスに近い感情である。

「俺もここ2、3日は狩りに出る予定はないからなぁ。コーギーは放っておくと何をするかわからんから、ついていってやろう」
「そ、そりゃ、どーも・・・」

コーギーは思わず苦笑いをうかべた。


コーギーの持つ大型の火薬弓から放たれた鉄杭が一頭のハウペルの首筋に突き刺さる。
のた打ち回るハウペルに、すかさずアイヒマンがとどめをさした.

「やれやれ。これで一段落というところか?」

額の汗を拭いながらアイヒマンが言う.

「・・・そうね。三匹も仕留めれば、二人で持ち帰るにはちょっと多すぎるくらいかもねぇ」

コーギーが言う事が事実だとすれば、学術調査のためにホライゾン・ヒルに来たとは言え先立つものがなければ生活することさえできない。
だから、まずは普通に狩りを行い、その上でサイハイランの調査をするという予定を立てていた。
その調査の間、アイヒマンはコーギーの護衛役である。ゆえにコーギーは狩りで得た報酬を護衛料を加味して自分とアイヒマンに7:3で分配することを提案したのだが、アイヒマンは5:5でいいと言って譲らなかった。

「それじゃ、アイヒマンはただであたしの調査に付き合ってくれるっていうの?」
「お前みたいな娘が、金でハンターを雇おうなんて考えなくていい。ちょいと頭でも下げてお願いしますって言やぁいいんだ」

コーギーはふぅっと、とため息をついた。手伝ってくれるのはありがたいが、子供扱いされるのは正直面白くない。

.
思いのほか、サイハイランは早く見つけることが出来た。
川べりで半分水面につかった形で、その蔦とも触手ともつかぬものをゆらゆらと蠢かせている。
一見するとマングローブのようなただの植物のように見える。

「これがサイハイラン、ね・・・?」
「なんだぁ、ただの木じゃないか」

身を乗り出して覗き込もうとするアイヒマン。

「よしなさいよ。こう見えても、ただの植物じゃないんだから。食べられたって知らないわよ」
「・・・っと、そうか?」

コーギーに止められ、慌てて体を引くアイヒマン。

「うん、でも、いい状態ね。あたしはしばらくここでスケッチするから、アイヒマンはその辺りでもブラブラしておいて」
「・・・ブラブラ、たってな。こんなところで何をしろってんだ?」
「そうね。この分だと危険もなさそうだし・・・。なんなら、今から帰ってもかまわないわよ?」
「そういう訳にもいくまいよ。・・・なら、俺ぁ馬でも見ておくさ。何かあったら呼ぶんだぞ?」
「はいはい。・・・ったく、子供じゃあるまいし」
「・・・ん、なんだって?」
「別に?こっちの話」

アイヒマンの姿が見えなくなると、コーギーはバックパックからスケッチブックと木炭を取り出し、サイハイランのスケッチをはじめた。
ゆらゆらと蠢くサイハイランを前にして、慣れた手つきで線を引いていく。
細かいところが気になるのか、たまに手を止めてサイハイランを凝視し、ほんの一歩近づいていく。
意識してか、無意識のうちにかは定かではないが、そうやってコーギーは一歩ずつサイハイランに近づいていく。

(なんだろう・・・いい匂い・・・)

そのうちに、徐々にコーギーの視点がぼんやりと定まらなくなり、スケッチブックに引かれる線もふらふらと所在を失っていく.
コーギーの意識も少しずつ混濁していくが、彼女自身その事に気がつかない。


「いやぁああああぁぁぁぁっ!」

そこから少し離れた場所で、馬にえさをやっていたアイヒマンにコーギーの悲鳴が届いた.
その瞬間、アイヒマンは腰の長剣を抜いてコーギーの元へと走っていく。
アイヒマンがコーギーの元に戻ってきた時、そこには全身をサイハイランの触手にからめとられ、宙吊りになった状態のコーギーがあった。

「あ、アイヒマン・・・!」
「待ってろよ、コーギー!」

アイヒマンはそう言ってサイハイランに打ちかかる。数本の触手を切り落としたものの、その無数の触手に右手をからめとられ、長剣をもぎ取られてしまう.

「やぁっ!やだ、やだっ・・・!」

そうしているうちに、サイハイランの触手はまるでコーギーの体を検分するかのように服や革鎧の隙間から入り込んでいく.

「こ、このっ・・・化け物め!コーギーを離しやがれ!」

素手でサイハイランに掴みかかっていくアイヒマンだったが、あまりに無謀が過ぎた。
サイハイランの触手は女性の手首ほども太さがある。その力は推して知るべしだろう。
「がっ!?」
サイハイランの触手は一瞬でアイヒマンの全身に絡みつき、その体をギリギリとねじ上げていく。
やがて、骨のきしむ音と共にアイヒマンの口から血がこぼれる。

「アイヒマン!アイヒマン!」

コーギーの泣き叫ぶ声が周囲に木霊する。
アイヒマンはコーギーに顔を向けて何事か叫んだようだったが、すでに声にもならない。
そして、次の瞬間に何かが砕ける致命的な音が響いて、アイヒマンの首がガクンとさがり、それっきりぴくりとも動かなかった。

「アイヒマン・・・っ!」

ぼろぼろと涙をこぼすコーギー。サイハイランは、邪魔者がいなくなったとばかりに、川面につかった洞穴にコーギーを運んでいった.


「・・・ん、今から行くのかい?スォード」
「ええ、まぁ」

それから二日後。
スォードは本来なら昨日には戻っている予定のコーギーとアイヒマンがまだ戻っていないことに胸騒ぎがしていた。

「要請でもあったのか?」
「いえ・・・ですが、昨日には戻っている予定のコーギーとアイヒマンがまだ戻っていないのです」
「コーギーかよ・・・あの娘の事だから、どうせもうちょっと、あともうちょっとなんて言ってスケッチでもしてるんじゃねーの?」
「ま・・・それならいいんですけどね。確か、彼女サイハイランの観察に行ったんですよね?今の時期、サイハイランは繁殖期ですから・・・不安になりまして」
「ふーん?よくわかんねぇけど・・・しかし、いつもながらスォードは物好きだな。何にもなかったら馬鹿みたいだぜ」
「それなら、私がちょっと疲れるだけで済むんですからいいんですけどね。ジルジラには申し訳ないですが」

スォードは、声をかけてきたハンターに苦笑を返す。
が、スォードは実際には単なる勘で動こうとしているわけではなかった。
コーギーには、アイヒマンが一緒だと言う。アイヒマンはすでにホライゾンヒルに2年近く滞在しているベテランハンターだったから、無駄に狩の期間を延ばすことの危険性を知っていたし、何よりアイヒマンはコーギーを我が子のように可愛がっていた。
そのアイヒマンがいるのだから、そう簡単に滞在期間を延ばすとは思えなかったのだ。

(無事であればいいのですが・・・)

スォードは必要な荷物をまとめると、ジルジラにまたがって飛び立っていった。










※サイハイラン
蔦脚種。
植物と動物の性質を併せ持つ珍しい生物で、ホライゾン・ヒル周辺にわずかに存在する以外では目撃例も少ないいまだ未知の生物。水辺に生息し、一見すると植物そのもののように見えるが、それは獲物を捕まえるための擬態らしい。
























※ハウペル
獣脚種。
ホライゾン・ヒル一帯ではパルトスと並んでハンターの登竜門的な扱いをされる事が多い獣。パルトスよりも一回り小型で、性質も若干おとなしい。が、その爪と牙はパルトスのモノより高価とされ、そういった点からもホライゾン・ヒル周辺では最も手頃な獲物という認識が強い。




コーギーとアイヒマンが狩りの期日を過ぎて二日。彼女たちはサイハイランと呼ばれる生物の調査に向かったという。この場合に必要な物資とは・・・。

・期日を二日過ぎている、と言う事は彼らの持っていった水や食料もすでに底をついているはず。その場合、まずはこの二日分の空白を埋める必要がある。とは言え、どちらか一人を即座にホライゾン・ヒルへ運ぶのであればその一人の分は必要ないだろう。

・状況が読めないため、彼らが負傷している可能性も考慮しなければならないだろう。

・ジルジラに乗せられるのは一人だけ。その場合、残される一人は最低でももう一日分の物資が必要だ。




*これらの状況を踏まえ、必要な物資を決定し下記アドレスの○の部分に打ち込んでください。*

http://www116.sakura.ne.jp/~jr/eventfmhkg○○○○○.htm

左から食料・水・医療品・露営具・その他救助物資となります。

例・必要な物資が食料1・水2・医療品2・露営具3・その他救助物資2の場合
http://www116.sakura.ne.jp/~jr/eventfmhkg12232.htmとなります。




□ ルール説明
救助に赴く際、スォードはジルジラという飛竜を使って移動します。
負傷者の運搬や水、食料、医薬品と言った物資も同時に運ぶ事になりますが、ジルジラに積める物資の量は数値に直すと最大で10までしか運べません。状況を洞察した上で、必要な物資のみを選別して救助に向かってください。
ただし、必ずしも重量を10まで物資を積まなければならない訳ではありません
ですが、仮に重量を7までしか積まなかったとしてもジルジラの移動速度が変わる事はありません。
ジルジラの背にはスォードに加えて一度に1人しか乗せる事は出来ません。
また、状況によってはスォード自身も人数に入れる必要があるので注意が必要です。

□ 救助物資種類
食料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「1人分」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「2人分」
医療品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「2人分」
露営具・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「3人分」
その他救助物資(衣類、ロープ等)・・・・・・・・ 基本重量」=「1人分」

各救援物資には、持ち運ぶのに基本となる重量があり、それを減らす事は出来ません。
(水であれば基本重量2=2人分ですが、これを重量1=1人分にする事は出来ません。
どうしても三人分の水が必要ならば、水2×2人分=4人分の水を運ぶ必要があります)


つまり、各物資はその基本重量×nという数値にしかなりえません。







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