- フランカ・マエステラ -

ホライゾン・ヒルに来て1年余りの中堅ハンター。剣術の腕はかなりのもので、見る者が見ればそれは正統剣術を身につけた者の剣であるとわかる。

ぶっきらぼうではあるが、多分にお人好し。ホライゾン・ヒルへ来たばかりの新米ハンターとチームを組んで狩りに出かける事が多く、そう言った事からマエステラ(先生等の意)と呼ばれるようになった。


愛用の武器は片手でも両手でも扱えるロングソード。
防具は要所を甲殻獣の装甲で覆った複合革鎧。



- フランカ・マエステラ -
「よぅ、フランカ!今日はどこの坊ちゃんの引率だい?」

そう声をかけられたハンター ーフランカ・マエステラー はホライゾン・ヒルに来たばかりの二人の若いハンターを連れ添って今まさに狩りに出ようと馬にまたがった所だった。

「さぁ。私としては引率をするつもりはないんだけど?そうよね、お二人さん」

フランカが後ろを振り返ると、二人の若いハンターは緊張した面持ちをフランカに向けている。
名をそれぞれオーウェンにリネカーと言った。

「・・・当然だろ。別に俺はあんたがいようといまいと、関係ないんだ」
「よせよ、オーウェン。・・・足手まといには、ならないつもりです」

そんな若い二人のハンターの様子を見て、フランカとフランカに声をかけたハンターは深々と嘆息した。
意気込みはわかるが、舐められまいとする駆け出しのハンターの典型的な反応だ。

「いいわ。なら、ついてらっしゃい」

フランカはそう言うと、ホライゾン・ヒルを南下した狩り場である森林へと馬首を巡らせた。



「言うだけの事はあって、剣はそれなりに使えるみたいね?」

「はぁっ・・・!はっ・・・!あ、相手がっ・・・獣で勝手が違わなけりゃあっ・・・!」

梢が高く、日も時折しか差し込まぬ森にあって、すでに日も落ちはじめた時分。
フランカの脇で、オーウェンとリネカーの二人はようよう仕留めた二匹目のパルトスを見下ろして荒い息をついていた。

あれから半日。狩り場に着くと、フランカはすぐさま狩りを始めた。
狩りの対象をパルトスに絞り、その上で群れで行動していない一匹を狙う。
対象を見つけると風下から近づき、一気に接近戦で仕留めるという近接戦闘を主とするハンターの一般的な方法だ。
狩り場について、フランカが一匹目を仕留めるまで2時間とはかからなかった。
が、ハンターとして素人のオーウェンとリネカーが同じ様に出来るはずもなく、度々フランカの叱責を受けながら半日以上もかけてようやく一匹のパルトスを仕留める事が出来た。

「ま、いきなり私と同じようにやれとは言わないけど。もう少し手際がいいかと思ったんだけどね?」
「あ、あんたがっ・・・いち、いち口を出さなけりゃあっ・・・!」
「よ、せってっ、オーウェン・・・!」

緊張の糸が解けたのか、オーウェンとリネカーは地面にへたり込んで大きく肩で息をしていた。

「一息ついてるところ悪いけど、早いトコバラしてしまわないとね。テントだって張らなきゃいけないでしょう?日のあるうちに済ませたいわ」

そう言ってオーウェンとリネカーを見下ろすフランカは汗もかいていない。


それから、水場のほとりにテントを張って仕留めた二匹のパルトスを解体するのにさらに数時間を要した。
当然ながら、フランカは自分が仕留めたパルトスの解体を終え、鎧を脱いでアンダーのみの格好で返り血と埃を洗い落としていた。
とは言っても、日中の狩りや先ほどの解体作業にしてもわずかに手や足先を汚した程度だったので、実際は沐浴のようなものだ。
が、オーウェンとリネカーは未だ仕留めたパルトスと格闘していた。

「あなた達ね、それが売り物で、私たちの飯の種だって事わかってる?」
「そ、そりゃわかってます、けど・・・っ!」
仕留めた獣を解体する作業は、かなりコツがいる。狩りに関してはベテランでも、解体作業には不慣れというハンターも少なくない。
まして新人であればなおさらだ。
そう言っているそばから、オーウェンのナイフがパルトスの毛皮を深々と切り裂いた。

「あっ・・・!?」
「・・・さっき言ったでしょう?筋肉と皮膚の間にナイフを滑らせるのよ」
「わ、わかってるっ・・・・・・けどっ・・・!」

すでに、オーウェンもリネカーも手と言わず顔と言わず、返り血でどろどろになっていた。
が、フランカは決して手は貸さない。

「明日も早いのよ。それとも、二人とも今夜は不寝番でもしてくれるのかしら?」

「・・・ちっきしょうっ!」

オーウェンはそう叫ぶと、ナイフを地面にたたき付けて大の字に寝転がった。

「俺は!こんな事をやりにこんな辺境まで来たんじゃねーんだっ!」
「・・・おいっ、オーウェン!」

やれやれ、とフランカはため息をついた。こういった野望や目標だけを高みにおいて、目の前が見えていない新人は珍しくもない。
新人の半分は最初の一週間で。もう半分は一ヶ月でホライゾン・ヒルを去る。それだけ過酷な場なのだ。
が、リネカーはオーウェンをたたき起こすとその頬を殴った。

「お前っ!どうする気だよっ!明日にでも国に帰るのか!どの面を下げてっ!」
「リ、リネカー・・・」

(ほんと、若いんだから・・・)

体を洗いながらも、フランカはその様子をどこか羨ましそうに眺めていた。

「・・・お願いします、フランカさん。もう一度、教えていただけませんか」

リネカーは、オーウェンを連れ添ってフランカの前に立ち、そう言いながら頭を下げた。

「・・・お、お願いします。フランカさん」

オーウェンも、頬を腫らしながら殊勝に頭を下げた。その様子に、フランカは微苦笑を浮かべる。

「全く・・・私は今体を洗ったところなのよ?」
「・・・・・・」

唇をかみしめ、二人は下げた頭を上げようとしない。

「・・・やれやれ。いいわ。私のナイフとって」

「は、はいっ・・・!」

結局のところ、こうやって力を貸してしまうのがフランカであり、「マエステラ」と呼ばれるようになった要因でもあった。


それ以後、二人の新人ハンターは今までとはうってかわってフランカの言う事に真摯に耳を傾けるようになった。
ここでハンターとしてやっていく上で、先人達が持つ知識や心構えといったものの重要さに気がついたからだろう。
ひとつひとつの些細な事柄も我慢強く教えるフランカはまさしくマエステラであった。


翌日。再び狩りを始めたフランカ達だったが、今その三人は揃って木陰に身を隠し、オーウェンとリネカーは青い顔をしていた。
フランカでさえ、額に汗を浮かべている。

「まいったわね・・・。7・・・9・・・ざっと見ただけで14匹か・・・。実際はその倍といったとこかしらね」
「・・・す、すまない・・・俺が、俺がうかつだったばっかりに・・・」

朝から昼にかけてはフランカの助言もあって順調に狩りを進めていたオーウェンにリネカーだったが、それに調子を良くしたオーウェンがフランカの忠告を忘れ、リネカーと共に2頭のパルトスに仕掛けたのがきっかけだった。
パルトスは、集団で狩りを行う獣だ。すなわち、複数でいると言う事はそれだけで臨戦態勢である事に他ならない。
その事を引き金として、群れが群れを呼び、ついには20頭を超えるパルトスに取り囲まれる事態になった。
今でこそ、木のウロに身を潜めている三人だったが、それも長くは持たないであろうという事は誰にでも想像がついた。

「仕方ないわね。オーウェン。リネカー。私が連中の目を引きつけるから、馬を繋いだ所まで走りなさい」
「そ、そんな事出来る訳ないじゃないかっ!」

フランカが淡々と言うと、オーウェンは泣きそうな声でそう言った。

「大声出すんじゃないの。いい?私一人だったらどうとでもなるわ。悪いけど、足手まといなの。わかったら、とっとと行って、スォードにでも連絡してちょうだい」
「フランカさん・・・!」
「男の子でしょ。そんな泣きそうな顔しないの。いい?馬のところまで、風下から回り込むのよ?いいわね?」
「わかったよ・・・わかった。助けを呼んで、すぐに戻るから!だからっ・・・!」
「大丈夫よ。・・・いきなさい!」

そう言って、オーウェンとリネカーを逃がすと、フランカは怪鳥のような雄叫びを上げてパルトスの群れへと突っ込んでいった。



オーウェンとリネカーがホライゾン・ヒルに戻ったのは、それから半日以上が経ってからの事だ。
本来、狩り場の森からホライゾン・ヒルまでは一日余りの距離がある。それを、地理にも明るくない二人が半日で駆け抜けてきたのだから、二人の心情は推して知るべしだろう。

「おや、お早いお帰りですね。予定では狩りは明日まででは?」
眼鏡をかけ、デスクワークにいそしむスォードは知っている人でなければそれが剣と体術に精通した屈強な戦士だとは誰も気付かない。
全身に疲労を浮かべ、咳き込むように詰め所に駆け込んできたオーウェンとリネカーはそのスォードの茫洋とした雰囲気に一瞬声をかけるのを躊躇したが、
すぐさま気を取り直してスォードの前に走りよった。

「あ、あんたがスォードか!?頼む、頼むよ!フランカを、フランカさんを助けてくれ!」

スォードはその言葉から連想されうる自体を想像し、眉をひそめた。



「あなた達は、よく休んでおくように。体は疲労の極にあるのですから」

スォードはオーウェンとリネカーから事情を聞くと、何を問いただすでもなくあっという間に準備を整え、ジルジラにまたがってそう言った。

「フランカさんを、どうか、どうかお頼み申します!」
「頼むよ・・・!」

そう訴えかけるオーウェンとリネカーの様子は、教師の身を案じる生徒そのものだ。

(フランカ・マエステラ、か・・・。あれほど自分の身を案じてくれる人間がいるのですから、生きていて欲しいものです・・・)

スォードはそう切に思いながら、ジルジラを森林地帯へと巡らせた。

































(*)パルトス
獣脚類。二足歩行する肉食獣で、比較的高い知能をもち、かつ獰猛。特に経験の浅い新人ハンターはパルトスの餌食になる事も多く、「ルーキーキラー」や「カウンターハンター」などの異名でも知られる。パルトスの群れにはベテランハンターでも滅多に手は出さない。
その体表を覆う艶やかな体毛は高価な毛織物の素材として珍重され、牙、爪なども細工物などの材料としてよく使われる。
肉はマズイが食べられない事も無いらしい。




オーウェンとリネカーの情報によれば、フランカ・マエステラは一人で十数頭のパルトスを相手にしたはず。
現実的に考えれば生存している可能性は低いが、仮に生存していた場合必要な物は・・・。

・まず、結論から言えば必要な物資の重量は10には達していない

・また、フランカのいる森林周辺に大規模な雨雲が発生している。急げば雨の降る前にフランカを連れて帰れるかもしれないが、雨が降ってしまえばその状態でフランカを運ぶ事は出来ない。雨は最低でも一日は降り続くだろう。雨は厄介だが利用する事も出来る。

・その上で必要な物資の種類は、ある一種類を除いた4種類といったところだろう。




*これらの状況を踏まえ、必要な物資を決定し下記アドレスの○の部分に打ち込んでください。*

http://www116.sakura.ne.jp/~jr/eventfmhfm○○○○○.htm

左から食料・水・医療品・露営具・その他救助物資となります。

例・必要な物資が食料1・水2・医療品2・露営具3・その他救助物資2の場合
http://www116.sakura.ne.jp/~jr/eventfmhfm12232.htmとなります。





□ ルール説明
救助に赴く際、スォードはジルジラという飛竜を使って移動します。
負傷者の運搬や水、食料、医薬品と言った物資も同時に運ぶ事になりますが、ジルジラに積める物資の量は数値に直すと最大で10までしか運べません。状況を洞察した上で、必要な物資のみを選別して救助に向かってください。
ただし、必ずしも重量を10まで物資を積まなければならない訳ではありません
ですが、仮に重量を7までしか積まなかったとしてもジルジラの移動速度が変わる事はありません。
ジルジラの背にはスォードに加えて一度に1人しか乗せる事は出来ません。
また、状況によってはスォード自身も人数に入れる必要があるので注意が必要です。

□ 救助物資種類
食料・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「1人分」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「2人分」
医療品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「2人分」
露営具・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 基本重量」=「3人分」
その他救助物資(衣類、ロープ等)・・・・・・・・ 基本重量」=「1人分」

各救援物資には、持ち運ぶのに基本となる重量があり、それを減らす事は出来ません。
(水であれば基本重量2=2人分ですが、これを重量1=1人分にする事は出来ません。
どうしても三人分の水が必要ならば、水2×2人分=4人分の水を運ぶ必要があります)


つまり、各物資はその基本重量×nという数値にしかなりえません。









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