座敷に、白い髪の女が舞う。上座に座る旦那はそれを恍惚の表情で眺める。 他にも、芸者はいる。三味線を弾く者。踊る者。だが、旦那の目には白い髪の女しか映ってはいない。 「やぁ、ほんまに大和はべっぴんやなぁ」 舞が終わり、開口一番旦那はそう言う。 「・・・へぇ、えろうありがとうさんです」 白い髪の女は手をつき、深々と頭を下げる。 「そないかしこまらんでええやないか。初めてやなし。・・・・・・なぁ、どや?今晩、つきあえへんか」 他にも芸妓がいるというのに、いけしゃあしゃあと旦那は言う。当然の如く、芸妓達は顔をふくれさせた。 「へぇ、それは堪忍しておくれやす。・・・・・・ほな、後はごゆっくり」 白い髪の女はもう一度頭を下げて、そのまま座敷を辞した。 それを機に旦那にわっと芸妓が集まる。 「旦那様、旦那様。そない大和ちゃんに執心したってあかんでぇ。あの子、カチカチやもん」 「そや。うちらがおるやんか。・・・なぁ、今晩うちを呼んでぇな」 わいわいと旦那にたかる芸妓達。が、肝心の旦那はさほど面白そうではない。 「・・・今日は帰るわ。なんや、しらけてもうたわ」 そう言うと、旦那は不平を言う芸妓達を尻目にとっとと座敷を出てしまった。 「大和」 「父者(ててじゃ)」 厳かな座敷。ろうそくのみの明かりで、大和の前に座る男の顔はよく見えない。 大和と、その父親は正座でお互い向かい合い、親子とは思えぬ雰囲気でかしこまっている。 「大和。金剛様から鬼退治の依頼が来た」 「はい」 「場所は久坂、保元の山中。・・・・・・行け」 「はい」 大和は、鬱蒼と木々の生い茂る山中にいた。 九岡から、およそ4日ほどの距離。久坂。 慣れた雰囲気で、旅をする様は20歳の娘とも思えなかった。 聞き耳をたてるように、大和は周囲に気を配る。 すでにその格好は、九岡独特の戦装束に着替えてある。 白と赤をベースに黒のアクセントを置いた装束。実戦向きというよりも、もっと儀礼的な意味合いが強いように思える。 「・・・・・・来た」 木々の影から、それはゆっくりと姿を現す。 身の丈は大和の倍はあろうかという巨人。その肌は褐色で、申し訳程度の布を体に巻き付けている。そして、額にねじれた一本の角。 その『鬼』を筆頭に、蛇のような姿をした妖魔がぞろぞろと続く。全部で30はいようか。 大和は、己の身長よりも長い大太刀を抜く。 咆吼を上げて向かってくる蛇鬼に一閃。その首が血の糸を引いて宙を舞う。 斬る、斬る、斬る。まるでそれ以外何も知らぬというように、大和は鬼を斬った。 時には、鬼の牙や、爪で傷を負うこともあった。が、まるでそんな事は関係ないとでもいわんばかりに、大和は鬼を斬った。 それから、幾ばくか。あたりは一面血の海と化し、その中央に大和が息を切らしてしゃがみこんでいる。 動く者は何もない。 そして、大和は唐突に立ち上がり、袖口をほどいてその場で舞いを踊り出した。 返り血にまみれ、重くなった袖を振りながら、半刻も踊り続ける。 やがて、踊りも唐突に終わり、足を引きずるように山を下りていく。 |
− 大和 − | |||||||||||
物理戦闘力 | 10 | ||||||||||
魔法戦闘力 | 1 | ||||||||||
直感 | 6 | ||||||||||
知名度 | 8 | ||||||||||
精神力 | 3 |
彼女には下手に交渉を持ちかけるより、こちらの力量を示し、服従を強いるのが最も確実だと思われる。 そのためには、彼女を屈服させうる戦闘力が不可欠。特に、魔法を用いず、純粋に物理戦闘において彼女を圧倒する必要があるだろう。彼女との戦闘においては、直感、カリスマもまず必要ではないはずで、身体能力と持久力がものを言うだろう。 |
□ 分身の能力 □ |
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能力 | 身体能力・・・分身の身体的な要素、すなわち腕力の強さ、頑健さ、俊敏さ等を示します。 魔法力・・・・・・分身の持つ魔法力の総量です。この値が高いほど使える魔法が増えます。 直感・・・・・・・・・いわゆる第六感。危機察知能力、気配感知能力等の高さを示します。 持久力・・・・・・身体能力とは異なる分身の有効活動持続時間を示します。 カリスマ・・・・・この能力が高いと自分の行動に対し自然と他人の関心を惹く事が出来ます。 |
分身の能力の総量は、数値に変換するとおよそ20程度です。能力的にはあくまで最低限のものですので、常に20の値を全て使い切り、能力に割り振ってください。 |
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*能力の下限は0・上限は20です* |