「長老。また余所者を追い返したのか?」 「無論。やつらと話す事など何もない」 西方大陸、グラーネン渓谷。ここには、カルトゥと呼ばれる先住民族、その中のセ族と呼ばれる者達が住み着いていた。 が、ここ10年余り、大陸に渡ってきた人間達が土地を開拓し始め、その領域は拡大。ついには、カルトゥを迫害し、その土地を奪うようになっていった。 無論、セ族とてそれを免れることは出来ず、余所者に追いやられるように少しずつその生活範囲を狭めていっている。 「長老。やつらは敵だ。それは間違いない。だが、やつらは強い。やつらは我々を追いやる事になんのためらいも無いからだ。いつまでもこんな事を続けていては、近い内にも皆殺し尽くされる」 「では、奴らの言うとおり奴らの用意した狭い土地に身を納め、この先祖達の守ってきた土地を余所者に明け渡せとでも言うのか?ヴァウ・ラウ。精霊の巫女である貴様が、真っ先に一族を裏切るのか?」 「そうではない。だが、奴らが下手に出てくるならば、交渉の余地はあるはずだ」 「何を言うか。そのような事を言う暇があれば、その弓で余所者を射殺すがいい。それとも、戦うことが恐ろしいのか。セ族の巫女であり、戦士であるヴァウ・ラウが」 「・・・・・・長老。私は戦うのは怖くない。死ぬのも怖くない。だが、私が100人の余所者を殺せば、部族の者が、それも女だろうが子供だろうが、やつらは1000人を殺すぞ。・・・・・・それは、私が部族の者を1000人殺すのと変わりがない・・・」 「ならば貴様がさらに1000人を殺せ。我々が奴らに屈服するいわれなどない」 そんな押し問答が、それからどれほど続いたろうか?ヴァウ・ラウは聖域である岩山、グレートリーデンに登り、その頂上で燃えるような夕日を眺めていた。 「・・・・・・ふぅ」 そして、大きなため息をつく。 その時、ヴァウ・ラウの肩に手を置く者がいた。 「・・・・・・ジ・アウ」 「どうした、ヴァウ・ラウ。今のお前からは精霊の加護が感じられない」 筋骨隆々としたセ族の男。年の頃は30前後と言ったところか。 「・・・ジ・アウよ。お前はどう思う?長老の言うとおり、我々は余所者と戦うべきなのか?だが、戦えば我々は負けるだろう。負けて、皆殺される。たとえセ族が滅びたとしても、戦うべきなのか?」 「なぜそう思う?余所者に、お前ほど弓や剣を使える者がいるとも思えない。俺も、お前ほどではないが弓も剣も自信がある。たしかに、戦えば何人も殺されるだろう。だが、あいつらを追い返すぐらいは出来るだろう?」 「ジ・アウ。たしかに、戦っても一時はしのげるかもしれない。だが、あいつらはすぐにまたやってくる。どれだけ殺してもきりがないだろう。本当に戦うしかないのか?他に方法はないのか?」 「ヴァウ・ラウ。まさか臆病風に吹かれたのか?精霊の・・・」 「違う!私は戦うのは怖くない。死ぬのも怖くない。だが、一族が滅び去るのは怖い。我々が伝えてきた事が、余所者に踏みにじられるのが怖いのだ」 「ヴァウ・ラウ。お前は、混乱しているだけだ。余所者ごとき、どれほどのものだと言うのだ。・・・・・・今日は休め。きっと今日は精霊の力が弱いのだ。明日になればそんな迷いもなくなる」 ジ・アウはそういってヴァウ・ラウの肩を叩いて、グレートリーデンを下っていった。 ヴァウ・ラウはその後ろ姿を見やって深く嘆息する。 「ジ・アウ。お前も、長老も、余所者の事がわかっていないのだ・・・・・・」 ヴァウ・ラウは、狩りに出かける際に、何度か余所者達の「軍隊」を目にしていた。 その訓練の行き届いた戦闘集団を見るに、ヴァウ・ラウはそれだけのモノを作る余所者達の背景を想像するようになったのだ。 そして、ヴァウ・ラウは方々から余所者達の情報を集めるようになった。 そのどれもが、余所者と戦うことの愚かさをヴァウ・ラウに説いているようでもあった。 「・・・精霊よ、願わくば応えたまえ。私は一体どうすればいい?長老やジ・アウの言うように、一族の誇りのために戦うべきなのか?それで、例え我々が滅びたとしても、戦うべきなのか?」 日が落ちてもなお、ヴァウ・ラウはグレードリーデンを降りようとはしなかった。 |
− ヴァウ・ラウ − | |||||||||||
物理戦闘力 | 9 | ||||||||||
魔法戦闘力 | 3 | ||||||||||
直感 | 7 | ||||||||||
知名度 | 8 | ||||||||||
精神力 | 8 |
「彼女は部族の未来を憂いている。実際に彼女らの部族の存在を脅かしているのはその近隣の諸侯達で、その手の輩は他の餌をぶら下げてやれば容易に引き下がるだろう。彼女らの部族に対するある程度の保証を盾に交渉を持ちかけるのが上策か。 その場合は事前の工作と話術が重要になる。が、彼女にこちらの話を信用させるにはまず自分自身を信用させる必要があるため、なんらかのデモンストレーションも必要だろう。魔法と身体能力を併用して何かをするべきだが、その値は五分程度で十分か。重要なのはカリスマで、最低でも彼女の周囲への知名度を上回らねばなるまい。あとは持久力を少々、といった所か。 |
□ 分身の能力 □ |
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能力 | 身体能力・・・分身の身体的な要素、すなわち腕力の強さ、頑健さ、俊敏さ等を示します。 魔法力・・・・・・分身の持つ魔法力の総量です。この値が高いほど使える魔法が増えます。 直感・・・・・・・・・いわゆる第六感。危機察知能力、気配感知能力等の高さを示します。 持久力・・・・・・身体能力とは異なる分身の有効活動持続時間を示します。 カリスマ・・・・・この能力が高いと自分の行動に対し自然と他人の関心を惹く事が出来ます。 |
分身の能力の総量は、数値に変換するとおよそ20程度です。能力的にはあくまで最低限のものですので、常に20の値を全て使い切り、能力に割り振ってください。 |
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*能力の下限は0・上限は20です* |