「うっお」 足下に銃弾が跳ねる。その音に、男は手にした剣を降ろさざるを得ない。 「チェックメイト。あんたの剣があたしに届くより、この撃鉄が落ちる方が早いと思うけど?」 中央大陸、ウェストサイド。開拓地であり、いまだ法の整備も完全ではない。故にチャンスさえ掴めれば一財産作ることも夢ではない。 それだけに、ここには様々な人間が集まる。金鉱を掘る物。土地を欲する者。追われて逃げ込んできた犯罪者、そしてその犯罪者達を狩るスコアラー(賞金稼ぎ)達。彼女、ジャン=バル=ジャンもそんなスコアラーの一人だ。 「へ、へへ・・・・・・その二丁拳銃、お前、ジャン=バル=ジャンだろ?噂は聞いてるぜ」 「フーン。じゃあ話は早いわね。そこにうつ伏せで寝なさい。手は頭の後ろで組んで」 男は、剣を逆手に持ち替え、両手を上に上げて害意が無いことをアピールする。 「へ、へへへ・・・まぁ、ちょいと待てよ。上手い儲け話があるんだ。取り分は6:4で乗らねぇか?でかい仕事だ。俺の首に引っかかった賞金なんざ、鼻息だけで吹きっ飛んじまうってぇ額だ」 男が一歩、ジャンに歩み寄ろうとした瞬間再び男の足下の小石が爆ぜる。 「ひっ!」 「悪いけど、そーいうの興味ないのよね、あたし。二兎追う者は一兎をも得ずなんて諺もあるからさぁ。ここはあんたの首にひっかかった賞金で妥協しておくわ」 「ま、待てよ!120万レーゼの仕事だぜ!?わかった、4:6ならいいんだろ!?」 ジャンは銃を構えたまま一歩男に歩を進める。 「わ、わかった、わかったよ!3:7!3:7だ!」 「わかってないわよ。興味ないって言ってるのがね」 ジャンはおもむろに男の眉間に銃を突きつけた。 ウェストサイドにあって、ありとあらゆる種類の人間が集まる街、コンラッド。ジャンはそこの酒場で一人グラスを傾けていた。 「よう、ジャン。また荒稼ぎしたそうじゃねーか」 同業者の一人が、ジャンを姿を見止めて肩を抱きながら声をかける。ジャンは慣れた手つきでその腕を払う。 「小者よ。弾代にもなりゃしないわ」 「はっはっは、よく言うぜ。全一スコアラーも射程内ってぇ人間がよ」 スコアラー達は、皆その獲得した総賞金額を競い合う。それはウェストサイド中の街に公表されるため、そこから富豪や貴族のお抱え用心棒、はては騎士団への登用など、立身出世の足がかりとなるものだからだ。 故に、スコアラー達はウェストサイド中・・・ひいては全国一のスコアラーを目指す。 ジャンは銃使い(シューター)だ。少なくとも、そのシューターというカテゴリにおいては、十指にも入ろうかというスコアラーである。 「別に、全一なんて興味ないわよ。あたしは取れる賞金を細々と稼いでるだけなんだから」 ジャンはそう言うと、カウンターにコインを一枚投げて、席を立つ。 「ネロ、あんたもあんまり欲かいてると早死にするわよ」 「ご忠告、痛み入るね」 ジャンは小さな小包を郵便官に渡す。慣れたもので、相手が何をどうと言う前に備え付けられた紙にサインをする。 「まったく、羨ましいですな。あたしも、一度でいいからこれぐらい稼いでみたいもんでさあね」 初老の郵便官はずり落ちそうになる眼鏡をしきりに上げて言う。 「こんなの博打よ。人間真面目が一番」 サインを終え、その紙を手渡すジャン。 「そうですねぇ・・・。時に、弟さんはまだよくならないんで?」 「・・・何の話し?」 ジャンは手続きを終えると、さっさとその場を後にした。 |
− ジャン − | |||||||||||
物理戦闘力 | 6 | ||||||||||
魔法戦闘力 | 1 | ||||||||||
直感 | 5 | ||||||||||
知名度 | 8 | ||||||||||
精神力 | 4 |
「調べたところ、彼女にはどうしても金が必要な事があるらしく、スコアラーをやっているのもそのためのようだ。そこで、純粋に報酬と引き替えに仕事として依頼してみるのが良いだろう。だが、彼女の性格を見るに素直に依頼に乗って来るとも限らない。そこで、彼女の不意打ちに備え、直感を彼女より上回る程度に。身体能力は彼女の物理戦闘力と同程度か、やや下回る程度でいいだろう。あとはカリスマと魔法力だが、これをそれぞれ同程度に・・・。」 |
□ 分身の能力 □ |
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能力 | 身体能力・・・分身の身体的な要素、すなわち腕力の強さ、頑健さ、俊敏さ等を示します。 魔法力・・・・・・分身の持つ魔法力の総量です。この値が高いほど使える魔法が増えます。 直感・・・・・・・・・いわゆる第六感。危機察知能力、気配感知能力等の高さを示します。 持久力・・・・・・身体能力とは異なる分身の有効活動持続時間を示します。 カリスマ・・・・・この能力が高いと自分の行動に対し自然と他人の関心を惹く事が出来ます。 |
分身の能力の総量は、数値に変換するとおよそ20程度です。能力的にはあくまで最低限のものですので、常に20の値を全て使い切り、能力に割り振ってください。 |
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*能力の下限は0・上限は20です* |