十九日目

藁にもすがる思い、と言うのはこういう事を言うのだろうか。
先日タンが見つけたちょっとした装備を頼りにもう一度例の骸骨の元へ行ってみるが、結果は変わらなかった。一体どの程度の物があればいいんだろうか?目標が見えないのは神経がささくれ立つ。
しかしどうしようもなく、私たちは再び4階に戻りお宝を探して当てのない探索を繰り返す。
私がイライラして手近な石ころを所構わず蹴飛ばしていると黒曜にたしなめられた。
確かにこらえ性がないとは思うけど、内側に溜めていくよりはちょっとでも発散した方が健康的でしょ、と訳の分からない理屈をこねてみると皆が一斉にため息をついた。悪かったわね。

まぁ、なんだかんだ言っても私たちが今まで大きな損害や事件もなく探索を続けてこられたのは単に運が良かっただけ、とも言えるしそれを考えればこうやって純粋に経験を積む事を考える期間というのもあっていいんじゃないだろうか。と言うのはリエッタの弁。私としてはそう言うのはとにかく先に進んで、壁に当たってから考えればいいと思うんだけどね。

とは言え、これでワイズマン討伐のために設けられた期間のうちちょうど半分を終え、折り返し地点を過ぎた事になる。今なら多少は余裕があるし、こういう時に少しでも経験を積んでおくのも悪くはないのかもしれない。

その後、例によって化け物とならず者に襲撃されるもどっちも小規模だったんで軽く一蹴。
で、タンが何やらお宝を見つけたらしい。
私には価値も使い方もよくわからない代物だったから、リエッタと黒曜が使う事になった。
こまごまとした道具類がいくつかだったけど、ちょっとした量があったからこれでひょっとするとあの骸骨が納得させられるかもしれない。

これで五階に行けるとなれば、期間も攻略状況も半分で気持ちがいいんだけど・・・。
でも、こんなに行き急いでるのって私だけなんだろうか?
そう考えると自分の落ち着きのなさがちょっと歯がゆい。まぁ、こういう性格だと割り切るしかないんだけどね。






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