不寝番の時にちょろっと落書きしてみた。一緒にパーティを組んでる獣人の子。
毛布にしっかりくるまっちゃってるから細部は記憶頼り。
まぁ自慢じゃないが私は絵とか音楽とか芸術方面はあまり芳しくない。
まぁ本人に見せる訳じゃないからいいよね。

九日目

傷が痛む。足が重い。
獣人の子が心配そうに何度も顔を覗き込んでくる。
心配ない、大丈夫。なんて言いながら笑ってみるけど、脂汗をかきながらの引きつった笑い顔じゃなんの気休めにもならないよね・・・。
見かねた皆が分担して私の荷物を持ってくれた。
無事なメンバーまで無駄に体力を使っちゃうと、いざって時に助かる者も助からないから、と言って辞退したんだけど誰も聞きやしない。
忍者の人でさえ無言で荷物を持ってくれた。
怪我をしてるからか、感情が高ぶりやすくなってるんだろう。思わず涙がこぼれた。
誰にも見られなかったと思ったけど、神官の人に見られていたみたいで「気にする事はありませんよ。情けは人のためならず、でしょう?」とか言いながらポンポンと背中を叩かれた。

違う。そうじゃない。
きっと、私は自分の荷物は自分で持つ・・・なんてて事を口にした時から、きっとこの人達はこうしてくれるだろうってわかってたんだ。それをわかっていながら、自分の発言を免罪符にしてそれにまんまと甘えてる。
その上・・・多分、ここにいる人間は皆「私だから」荷物を持ってくれたんじゃない。
きっと、私じゃなくても・・・多分、どこの誰が怪我をしてもそうしただろう。
そんな事を考えてしまって、無性に悲しくなった。
そして、そんな独りよがりな考えが頭に浮かんじゃう自分が何より悲しい。


結局、足が多少軽くなった事と元々来た道を引き返すだけって事もあって、一日で地上に戻って来られた。太陽がまぶしい。ああ、助かったんだって感慨もひとしお。
街で傷を治療してもらうと、気持ちが嘘みたいに晴れやかになる。怪我とか病気をしてる時ってのは弱気になっちゃうんだと実感。
とりあえず皆に感謝して、ご飯でも奢ろう・・・と思ったけどそう言えばワイズマン討伐に参加してる冒険者は飲み食いタダなんだっけ。
仕方ない。次の探索で必ず皆に借りを返そう。

・・・っと、こういう思考がまずいのか。
私は私に出来る事をやろう。






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