八日目


今日はようやく地下4階へ進む階段を見つけた。
配管工エリアにも飽きてきてた所だし、いいタイミングなんじゃないかな。

それはそうと、今日はいきなり神官の人に頭を下げられた。
なんの事かと思ったら「私は未熟者です。きっと、自分が知らないうちにあなたに不快な思いをさせたに違いない。どうか許して欲しい」とか何とか。
軽く苦笑い。別に神官の人が何かやった訳じゃない。単に私が一方的に神官の人にライバル心を抱いているだけで、それが結構態度に出ちゃってたみたい。負けず嫌いなのよね、私。
誤解されたままで何か問題でも起きても嫌だし、そういう事だから気にしてくれるなと伝える。
すると手を握られて「なら、今日から私とあなたはよきライバルです。お互い切磋琢磨していきましょう」みたいな事をさわやかに言われた。
うーん。アカデミーにいたなぁ、こういうタイプ。
それに、本人は全くそんなつもりは無いと思うけど、ちょっとした皮肉よね。


で、地下四階。三階と雰囲気が違うって訳でもないんだけど、少しずつ下に進んでいるからか、緊張感が増してきた気がする。ここ数日はずっと三階をうろうろしてたからなおさら。
でも・・・正直嫌な予感はしていた。ろくな事がおこらないんじゃないかって。

案の定だ。
何でか、不自然に置いてあった大鏡。
もしかして罠?なんて思うまでもなかった。鏡の中の神官の人がにっと笑ったと思うと、するするっと鏡から出てきたのだ。
勿論本物は隣にいる。
獣人の子が言うには、鏡に映った人の能力をコピーして作り出す化け物の一種らしい。

まぁ、正直に言おう。
私はこれは絶好のチャンスだと思ったのよね。
だって、コピーだって事は、言うなれば神官の人と真剣勝負が出来るって事。
本人を前にどうかと思うけど、一発がつんとかまして見返してやりたかった。


・・・で、その結果私は歩くのもやっとの状態で地上に向かっている。


私は、獣人の子とか、忍者の人。そして神官の人に援護されたくなくて、制止も振り切って飛び出したんだけど、逆に簡単に返り討ちにされて地面に転がっていた。
そのコピーは他の皆がなんとかしてくれたんだけど、情けないったらない。
自分の性格が恨めしい。自分の実力ぐらいわかってるつもりだったのに。
獣人の子が回復魔法も使ってくれたけど、多少楽になった程度で正直回復したとは言い難い。
で、この子もそんな事で責任を感じてるみたい。こっちが辛くなるのよね・・・こういうの。

その後、結局このまま進むのは無理だろうって事で一度戻る事になった。
ホントに情けない。でも、私の事は気にせずに先に進もう!とも言えない。
その後、化け物とか例によってハイウェイマンズギルドの連中の襲撃にもあったけど、とてもじゃないけど対抗できない。
獣人の子とか神官の人に守ってもらってようよう切り抜けた。
特に、神官の人は責任を感じてるみたい。責任なんてどこにもないのに。

ホント、自分の事をこんなに情けなく思ったのは生まれて初めてかもしれない。
あ、いや。あの時以来・・・かな。

ああ、無事に帰れるといいな・・・。






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