七日目

新しく神官戦士の人を加え、再度龍神の迷宮へ。
だからどうだと言う訳じゃないんだけど、リーダーが獣人の子から神官の人に変更になった。
まぁ、獣人の子は人を仕切るのとかあんまり得意じゃないみたいだし、その点この神官の人はそう言うの得意そうだ。全員で決めた事だから別に異論は無いんだけど、ちょっと残念に思ってしまった。それってつまりは、自分が意外なぐらい獣人の子を信用してたって事だ。
ま、とりあえずは神官の人のお手並みを拝見しよう。

どうでもいいんだけど、どうにも私はこのパーティ内では発言力が低い。
そもそもあまり発言しない忍者の人はさておき、やっぱり実力もないし知識もないってんじゃ、発言に重みがないのは仕方ないところだけど・・・。
国にいた頃・・・特にアカデミーに入るまでは、私の言う事を聞かない奴なんて考えられなかったのにね。でもまぁ殊勝になった自分を見ると、大人になったなーって実感があるし、そこまで悪くはないかも。
とは言っても人の下につくのは正直好きじゃないので、一発どこかで皆を見返してやりたい。

とりあえず迷宮。以前進んだ地下三階に戻る訳だけど、一度進んで、また戻ってきた道をまた進むのは正直つまらない。そりゃ、ならず者はでるしトラップもあるけど、初めての場所に足を踏み入れるワクワク感がないのはモチベーションに関わる。そう思わない?
とか何とか思ってるうちに二階への階段。
私がさっさと進もうとすると、神官の人が何日か前に迷宮で見つけた妙なコインを取り出して何やらごそごそやってる。宗教に関係してる事なのかよくわからないけど、こっちとしてはとっとと先に進みたい。
なんて私が思った瞬間、神官の人がコインを階段の仕掛けに嵌めると、突然仕掛けが音を立てて動き出した。
状況が全く把握できないまま、床が光ったと思うと、次の瞬間に私達は地下三階に立っていた。
・・・うん、間違いなく三階。だと、思う。

どうやらあの仕掛けは転送装置で、コインはその起動の鍵だったみたいだ。獣人の子もそう言うし、間違いない。
神官の人は得意げな顔をするでもなく、なぜかまだ嵌ったままのコインを取り出して「先に進もう」と言ってる。
訳もなくライバル心。

で、前に進めたところまでそろそろかな・・・って時に獣人の子が突然私の前を遮って、天井を指さした。よくよく見ると、天井に妙な隙間がある。
何の事はないトラップだけど、正直気が付かなかった。普段ならあんなトラップすぐに気が付くけど、ちょっと今日は気が急いていたみたい。獣人の子に礼を言って、気を引き締め直す。

そうこうしているうちに、またハイウェイマンズギルドの連中が現れた。
何度かの襲撃で、私も結局それなりの人数のならず者を斬った。けど、やっぱりまだ慣れない。
けど、今日はそんな事よりも神官の人の腕前を見せて貰おう。
ここらで一発私もやればできるんだって所を見せてやりたい。

・・・いや、まぁ、そんなに上手くいく訳ないとは思ってたけどさ。
さすが、その年で神官戦士に任ぜられるだけの事はある。息ひとつあがってない。
ま、今日は互角って事にしておこう。

そう言えば、そのごたごたの後獣人の子が何やら古ぼけた本を拾っていた。
中を見てもどこの国の言葉さえわからない文字の羅列があるばかり。
でも獣人の子は読めるらしい。大したモンよね。






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