二日目 一日目はパーティを組んだだけで終わってしまった。 まぁ、あの後食料を買いに行ったり野営具を揃えたりと一通りの準備は整えた。 今日は早速龍神の迷宮へ向かう。 龍神の迷宮は地下迷宮だけあって、地上部分には入り口がぽっかり口を開けているだけで、やや拍子抜け。もっとこう・・・神秘の古代遺跡!と言う雰囲気を期待していたのだが、ちょっと過剰な期待だったようだ。 ん・・・。何というか、我ながらまだ遠足気分があるようだ。気を引き締めよう。 入り口にはいる時はちょっと躊躇したが、すでに経験のある忍者の人がさっさと入っていってしまう。頼りになるんだか不用心なんだかちょっとよくわからない。 獣人の子は相変わらず何を考えているのか読みとれない。 傭兵は・・・私のお尻にくっついている。先頭に立て!と一喝したらおっかなびっくり前に出た。 聞いていた通り迷宮の内部は所々明かりが灯してあり、松明なんかは必要なかった。 まぁ私も「光源」程度の魔術は使えるのでそもそも必要ないのだが。 流石に地下一階は「安全圏」などと言われるだけあって、さほど危険な雰囲気はない。 昔の自分だったらはしゃいで駆け回っていただろう。 とは言え、ワイズマンが生み出したって言う化け物の類とか、ここを根城にしてる犯罪者集団「ハイウェイマンズギルド」の連中も出るって言うし、油断は禁物・・・かな。 で、早速出た。化け物が。 生き物なのかどうかもよくわからない物体・・・。魔法生物か何かだろうか。 初めての実戦で思わず体が硬直した。情けないと思う間もなく、忍者の斬撃と獣人の子の魔法が化け物を吹き飛ばしていた。 思わずあっけにとられる。二人の素性を疑った自分が一番愚か者だったようだ。 傭兵は・・・柱の影だ。 怒鳴ってやりたかったが、自分も結局何もしていないので似たようなものか。 とりあえず初めての実戦は何もいいところがなくあっという間に終わったが、獣人の子と忍者が頼りになる事がわかったのはありがたい。 特に獣人の子は私から見ても相当なレベルの魔法使いだとわかる。 あの年で・・・しかも獣人という立場でどうやってあれだけの魔法を身につけたのか気になる。 機会があれば話してもらえるだろうか。 この後は無難に迷宮内を探索して一日が過ぎた。 迷宮内だと昼も夜もないもんだから、休息を取るタイミングがよくわからないのが難点と言えば難点だろうか。 一応寝る時は交代で不寝番を立てたのだが、私が傭兵と順番を変わる時、傭兵は船をこぐどころか普通に寝ていた。思わず蹴り飛ばしそうになったがぐっとこらえる。 まぁ先は長いのだし、いらぬ火種は抱えたくないが・・・。せめてもうちょっと何とかならないものだろうか・・・。 |