略 フラベルクを出立して一月余り。クルルミク王国に着く。 我ながらよく一人で大した揉め事も起こさずここまで来たものだ。 女の一人旅・・・ましてやそれが貴族だと知られたら、面倒が起きるのは分かり切っていたから、自分の氏素性は隠してここまで来た。 ただ、そのせいで国境を越えるのに面倒があったが、まぁその程度だ。 クルルミク王国はスティアート帝国とは多少距離があるため、それほど親しい間柄でもない国だ。 実際、自分も竜騎士の噂を聞いた事がある程度で、その内情は全く知らないに等しい。 順番が逆になったが、とりあえず自分がこの手記を書こうと思った理由を記す。 何でも、今この国は大変な騒動が起こっているらしい。 ワイズマンとか言う魔法使いが龍神の迷宮とかって地下迷宮の最下層でよからぬ事を画策してるんだとか。 詳しくは面倒だから省く。興味がある奴が自分で調べればいい事だ。 で、その魔法使いの討伐が国をあげて大々的に行われているのだが、隣国との関係がまずい状況らしく、噂の竜騎士を投入できない状態らしい。で、この国に集まった冒険者達がその討伐にあたっているというのが現状だ。 それに私も参加することにした。 私が旅に出た理由・・・まぁ人捜しなのだが、その捜している人にワイズマンが何か関係があるんじゃないかと思ったからだ。 それに、自分の力がどこまで通用するのか試してみたいと言う事もある。 とは言え、まだアカデミーを出たばかりの自分の実力などたかが知れている。 ひょっとしたら、命を落とす事になるかもしれない。 だから、この手記をつける事にした。 仮に自分が死んで、この手記を誰かが読んだとしても、自分は死んでるんだから意味なんて無い訳だけど・・・。 まぁ、自己満足以外の何ものでもない。 |